「訪問看護」と「脳若ケア」。住み慣れた場所で最期まで。

まちの訪問看護リハビリステーションさん(福岡県直方市)訪問

本日は福岡県直方市の訪問看護ステーション「まちの訪問看護リハビリステーション」(以下まちかん)さんにお邪魔しました。

まちかん代表の奥廣則氏とはご縁あって長くお付き合いさせていただいており、福岡市内の医療法人での老健事務長時代に私の母が倒れ、親身になって相談にのってくださった事もあります。(「まちかん」が福岡市内にあったらと何度思ったことでしょう!)

まちかんさんのイメージカラーは青。

訪問看護ステーションのサービスとは

訪問看護のお仕事、私たちは意外に知らないですよね。

訪問看護とは
~訪問看護ステーションから専門の看護師等が利用者様のご家庭を訪問し、病状や療養生活を看護の専門家の目で見守り、適切な判断に基づいたケアとアドバイスで、24時間365日対応し、在宅での療養生活が送れるように支援します。~(一般社団法人全国訪問看護事業協会ホームページより抜粋)

医師や関係機関と連携をとりながら、さまざまな在宅ケアサービスの使い方を提案していくのが訪問看護ステーションの役割ということになります。

29年度から国の施策で総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)が始まりましたが同じように、なるべく「自宅で、地域で」という世の中の流れがある中、この訪問看護という業種にも変化が訪れようとしているのを感じます。

「まちかん」さん昨年の活動報告書

「まちかん」さんの2016年活動報告書には企業理念が掲載されています。

「ご利用者とご家族、そして職員にも優しい訪問看護で地域の健康を守ります」

この「ご利用者とご家族、そして職員」というところが素晴らしいと思うのですが特にナースの皆さんは理念にあうレベルの高いプロを集め、「看護に集中できる環境づくり」をポリシーとしておられる。専属医療ソーシャルワーカーでもある奥さんらしい、魅力的なステーションだと感じます。

奥代表

奥代表

「脳若ケア」を導入して

「脳若ケア」と「訪問看護」。まだまだ事例は少ないが可能性はある!とおっしゃる奥さん。訪問看護ステーションのイメージを払しょくする、新しい訪問看護の在り方を提案できるのではないか?と考え、訪問時にiPadを持ってもらったのでした。

「iPadを使った認知症予防リハビリ」のメニューが加わった。

実際に現場で「脳若ケア」を利用している訪問看護師の山本さんにお話をお伺いしました。

訪問看護師の山本さん

訪問看護師の山本さん

Q時間は?

20分~30分くらいですね。「脳若ケア」だけでの訪問もあります。
最初は、「えっ!機械?」みたいな反応ですが、すぐに慣れて皆さん楽しんでいらっしゃいます。

Qどんなプログラムが人気ですか?

やはりゲーム性のあるものが人気です。「落下」とか「指タッチ」ですね。最近は自分の点数を意識されています。また、訪問時にご夫婦で楽しんだり、ご家族が参加されて「じゃんけん」ゲームをやったりしてすごく盛り上がることもあります。
お一人、末期がんの男性(80歳台)がいらっしゃるのですが「落下ゲーム」にはまっていて、もっとやりたい!とご利用が増えました。様子を見ながらですが少しでも楽しんでいただければと思います。


Q効果は感じておられますか?

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)が徐々に上がってきた認知症の患者様がいらっしゃいます。iPadに触れることで刺激になっているんだろうなと思いますね。また、訪問先の患者様とのコミュニケーションを円滑にするにはもってこいのツールだと思います。

Qトレーニングをする際に気をつけていることは?

訪問時ごとにその方の体調や心の状態が微妙に違います。患者様と触れ合いながらトレーニングをしながらそれを感じ取り、プログラムを選定していきます。今日は調子がいいから、これに挑戦してみましょう、みたいな感じです。一つのプログラムが平均でも5分くらいですから、短時間で試せるので良いですね。

訪問看護で「予防」から「最期」まで

最後に、「まちかん」奥代表にもお話をお伺いしました。

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看護は医療で行うものだ、という見方がどうしてもあって「訪問看護」という選択肢は、一般的になかなか知られていません。私たちは訪問看護で「予防」までやりたいと思っているのです。

しかし、ここまでやるにはやはり「看護師の余裕を生み出す」ことが必要です。24時間で見るという訪問看護という仕事は、その方が自宅で最期まで穏やかに暮らすという人生最高の幸せを作り出すお手伝いができるのです。その為に専門家の目で見守り、適切なアセスメントに基づいたケアとアドバイスで支援していくのが私たちのミッションです。
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私の母は「這ってでも家に居たい」とよく言っていました。倒れてすぐに病院、そのまま逝ってしまいましたが、後悔ばかり。いろんな選択肢を知り、情報を集めることはこれからの医療・介護そして予防には必要不可欠なことであると再認識しました。「まちかん」の皆さん、ありがとうございました!