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光岡眞里の「あゆみ」メールマガジン今日も元気にパワフルに!
作者:光岡眞里 2026年04月23日号 VOL.789
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先週、自分のためだけのアプリを作った。
バンクーバーの学会に向けて、発表原稿を英語で練習するためにClaudeに即席の練習ページを作ってもらったのがきっかけだった。あれが本当に便利だった。帰国してから、そうだ、あれをちゃんとアプリにしてしまおうと思い立った。毎日5分。通常の英会話アプリではない。私の仕事、つまり研究発表で必ず使う専門的な言い回しが入った英文がランダムに出てくる。AIが読み上げる英語は流暢で、速度も難易度も自分好みに設定できる。
アプリのアイコンを自分でデザインし、GitHubにコードを置いてデプロイした。どれも初めての経験だ。わからなくなったらスクショして「どうしたらいい?」と聞くのだ。まるで開発者になったと錯覚する。スマホのホーム画面に、自分で描いたアイコンが並ぶ。そこをタップすると、自分の作ったアプリが動き出す。この感動は言葉にしにくい。小学生が初めて自転車に乗れた瞬間の、あの感じに近い。
これは半年前には存在しなかった風景だ。いや、3か月前の情報でさえもう古い。ツールは毎週のように進化する。人間の脳の方がついていけない。ドラえもんの四次元ポケットが、ひとつひとつ現実になっていく時代に私たちは生きている。
世の中は生産性、生産性とうるさい。ただ、面白いことに、人は「生産性を上げろ」と命令されるとやる気を失い、「楽しい」と感じたことなら黙々と続ける。不思議なものだ。AIの勉強もそうだろう。やらされ感で向き合えば続かない。楽しんで向き合えば、気づけば驚くほど進んでいる。いつからでも、何歳からでも遅くない。
英語の話に戻る。私は「ペラペラ」になりたいわけではない。自分の口からすっと自然に出てくる必要な言葉を増やしたいだけだ。中学生のときに覚えた「This is a pen.」が今でも口から出てくるように、「Our research focuses on〜」が反射で出てきてほしい。それだけでいい。必要最低限で伝わればいい。これもある意味、生産性向上というやつだ。自分にとって本当に必要な範囲を見極めて、そこに集中する。それ以上でも以下でもない。
世の中を見渡すと、英語学習アプリを使う人が本当に増えた。通勤電車でも、昼休みのカフェでも、スマホの画面でシャドーイングしている人をよく見かける。ただ、既製品のアプリは万人向けに作られている。高齢者向けの介護予防の話をしたい私に、ビジネス英会話の定型文は役に立たない。
そこで自分仕様にしてしまえばいい。今はそれができる時代だ。
バイブコーディングという言葉が広がっている。AIと対話しながらアプリを作る開発スタイルのことだ。非エンジニアでも、「こういうものが欲しい」と日本語で伝えるだけで、AIがコードを書いてくれる。完璧なプロ品質のサービスを作るのは難しいが、「自分ひとりのため」「家族のため」「小さなコミュニティのため」の道具なら、もう十分に作れる。私のような文系の60代にだって作れる。
ここに大きな意味を感じている。これまで「不便だけれど、まあ我慢するか」で済ませてきた日々の小さな困りごとが、一つずつ解消できるということだ。自分の必要に合わせて、自分で道具を作る。かつては職人や技術者の特権だった行為が、誰の手にも戻ってきた。
脳若の参加者さんたちの顔が浮かぶ。年齢を重ねても、自分の「したい」を形にできる時代がすぐそこにある。大切なのは、大げさな目的ではなく、小さな楽しさを見つけることだ。楽しいと思えれば、勝手に続く。続けば、いつのまにか身についている。AIはそれを後押しする道具であって、主役ではない。主役はいつだって、「自分は何を面白がれるか」を知っている人間のほうだ。
おわり。
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