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光岡眞里の「あゆみ」メールマガジン今日も元気にパワフルに!
作者:光岡眞里 2026年08月20日号 VOL.806
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遅いランチで入った店のカウンターに、新聞が置いてあった。東京の老人ホームの入居費が1000万円を超えたという記事が目についたので手に取る。
終えてページをめくったら、次にあったのはハローワークが老いているという記事だった。
めくったらそこにあった、というだけのことなのだが、仕事上、目につく記事は決まってくる。
一本目。
都内の有料老人ホームの入居時にかかる費用は、中央値で1000万円。8年前より4割高い。月々の費用も中央値で30万円近くまで上がっている。一方で、国民年金の平均受給額は月に6万円ほどだ。差は24万円近い。毎月それを誰かが埋めることになる。
埋めるのはたいてい子どもだ。
そしてもうひとつ、30代から40代の8割が、親と介護のお金の話をしたことがないという調査が添えてあった。
二本目は老いるハローワーク。
事務職を希望して窓口に来たシニアに、相談員が介護職なら仕事はいくらでもあると勧める場面から始まっていた。紹介された仕事の3分の1以上が事務職に集まる一方、人手が足りない建設や採掘は1パーセント台だという。就きたい仕事と、実際に足りていない仕事が噛み合っていない。
二本を並べると、同じ形が見えてくる。どちらも、決めるのを先に延ばしている話だ。片方は親の住まいをいつ決めるか、もう片方は自分の働き方をいつ切り替えるか。どちらも遅れるほど、選べる幅が痩せていく。費用に苦しむ側が、担い手の足りない現場へ流れていく。
介護予防を仕事にしていると、施設に入る時期が1年延びることの意味を、つい費用で説明してしまう。月30万なら1年で360万、と。だが本当に大きいのは金額ではなく、家族が働き続けられる年数のほうだと思う。
親の介護で仕事を離れれば、その人の収入も、将来の年金も痩せる。そして下の世代に、同じ計算がまた回ってくる。
元気でいてもらうことは、本人の健康の話であると同時に、次の世代の働く時間を守る話でもある。
新聞は店のものだから、そのまま置いて出た。二本の記事だけしっかり持って帰った。
おわり。
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