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光岡眞里の「あゆみ」メールマガジン今日も元気にパワフルに!
作者:光岡眞里 2025年09月11日号 VOL.757
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健康格差という言葉がある。経済状況や生活環境、価値観の違いによって、健康でいられる期間や医療との付き合い方に差が生まれてしまう現実のことだ。たとえば同じ地域に住んでいても、運動や交流を続けている人とそうでない人とでは、病気や要介護状態になるリスクがまったく違ってくる。
そんな中、神戸大学などの研究チームが興味深い成果を発表した
(https://f.bmb.jp/8/4281/770/112)
楽観的な人は似たような未来を思い描き、そのときの脳活動も驚くほど似通っているというのだ。fMRIを使った実験で、未来の出来事を想像してもらったところ、楽観的な人ほど「いいこと」と「悪いこと」をはっきりと分けて考え、そのときの脳の地図のパターンが他の楽観的な人と共通していた。思考の構造が似ているからこそ、互いに理解しやすく、関係を築きやすいのではないかと研究者は指摘している。
地域で介護予防教室を見ていると、この研究と重なるところを強く感じる。積極的に参加する人は前向きで、新しいことに挑戦しながら人とのつながりを広げていくタイプが多い。まさに楽観的な人の特徴だ。
一方で「自分は行かなくても大丈夫」「知らない人の中に入るのは苦手」と感じる人は、活動の機会を逃しやすく、孤立や健康リスクを抱えやすい。前向きな人同士は自然と集まりやすく、そうでない人はますます遠ざかってしまう。ここに健康格差が広がる背景がある。
ただ、だからといって悲観的な人に「もっと前向きに」と言ってもうまくはいかない。そこで鍵になるのがナッジ効果だ。声をかけられたからつい行ってみた、近所を歩いたついでに寄ってみた、そうした小さな“つい”が、本人の意識に関わらず行動を後押しする。繰り返すうちにそれが習慣になり、やがて自分の生活の一部になる。
健康を守る仕組みは、大きな決意よりも、むしろそんな「気づかないうちの一歩」によって育まれていくのかもしれない。結局は、運と引きつける力。それが未来を分けるのではないだろうか。
おわり。
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