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光岡眞里の「あゆみ」メールマガジン今日も元気にパワフルに!
作者:光岡眞里 2025年10月09日号 VOL.761
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人前で話す機会が多い。
だから長い間、どう話すか、どう伝えるかに意識を集中させてきた。言葉をどう紡ぐか、どう聞き手に届けるか。自分の中の「コミュニケーション力」は、常に“話し手”としての力だった。
やがて、社会は多様化し、立場や背景の異なる人たちと向き合う場が増えた。これまで当たり前のように使ってきた「コミュニケーション」という言葉自体を、もう一度見直さなければいけないと強く思っている。
あるコラムに、「会話の受け答えの切り替え」は平均0.2秒で行われていると書かれていた。相手の話を理解し、文脈を読み、応答を整理して言葉にする――それだけの認知処理を、私たちは一瞬でやっているという。
この数字を知ったとき、ハッとした。私たちはいつの間にか、相手の言葉を聞いて、考えて、応答するという自然な“間”までも、急き立てるように生きているのではないか、と。
本来、会話には“間”がある。
相手の言葉を受け取り、自分の内側にいったん置き、考え、言葉を返す。その時間が削ぎ落とされていくと、コミュニケーションは一見スムーズに見えても、どこか薄っぺらいものになる。0.2秒というスピードの裏側に、見えなくなっている“間”の存在に気づかされた瞬間だった。
よく自分を見つめてみると、沈黙が怖いというよりも、むしろ今は沈黙を楽しめるようになったと感じる。沈黙――つまり「間」。この間こそ、相手の思考が深まる時間であり、自分自身も相手と向き合える時間だと思うようになった。
剣道には「間合い」という言葉がある。相手との間をどう取るかが勝負の決め手になる。この「間合い」の感覚こそ、コミュニケーションの真髄ではないだろうか。相手の言葉を待ち、自分の呼吸を整え、互いの間を感じ取る。話す技術よりも、この“間を大切にする力”こそが、これからの自分に必要な力だと感じている。
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