社会福祉法人としての意義とは?鹿児島の社福が熱く語る「経営戦略に基づいた先行投資」

鹿児島市本名町にある社会福祉法人「寿康会」。平成の大合併で鹿児島市(人口約60.58万)へ編入組とはいえ、地域住民のつながりが強い土地柄。その中でも『地域一番店』を目指し、特養・ケアハウス・グループホーム・デイ等を手掛ける鹿児島でも老舗の社会福祉法人です。

事務長の山下さんは業界の課題でもある介護職員の人材確保を目的にスタッフの魅力発信に重点を置き、日々走り回っています。
つい先日も将来の人材発掘の為にベトナムへ出張、空港からサムライトの本社である福岡市百道浜までおいでになるという強烈なパワフルウーマンなのです。

改めて問われる「社会福祉法人」の意義

「社会福祉法人」というのは本来、“公益性の高い社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人でありその非営利性公益性に鑑み、適正な運営の確保について広く国民に対して説明責任を果たす必要がある”とされています。さらに平成29年4月施行予定の社会福祉法等の一部を改正する法律案が発表され、一定の事業規模を超える社会福祉法人(年商10億円以上といわれている)に対し、外部機関による会計監査を義務付けられる等、強力なガバナンス(内部統制・統治)がこの「社会福祉法人」に課されてきています。
その中で、寿康会の山下さんが強く主張されているのは「内部留保の明確化・福祉サービスへの再投下」です。

長年介護業界へ身を置かれた方が「これだ!!」と直感。導入1年でのべ900名受講。

「脳若」に出会うまではマンパワーでPT、栄養士、看護師を派遣して様々な介護予防講座を請け負っていたといいます。地域との交流が深まるほど、お元気な認知症(MCI)の方々が多く生活されていることに改めて気づいたと。生活に大切な食べること(口腔ケア)や動くこと(機能訓練)をお伝えしても理解力が乏しくなられていることに驚きだったことがきっかけで、認知症予防に特化した介護予防を推進していこうと様々な教材を調べていたそうです。任天堂さんの脳トレや公文さんを調べ、また施設では読み書き計算も取り組んでいましたが、なかなか続かなかったのが現状だったとか。ipadという文明の利器を使い、高齢者でも優しく楽しく認知症を予防できる「脳若トレーニング」にようやくたどり着いたといいます。

脳若トレーニングには短期記憶、遅延記憶、グループ回想法、音読、書写、簡単な動きと組み合わせたデュアルタスク運動(BB体操)もあり、何よりコミュニケーション重視、とにかく講座内容が楽しいから申し分ない!とこのトレーニングに惚れ込んでいただきました。サロンでの盛況ぶりはあっという間に広まり、導入1年で延べ900名の方々に受講されています。

さらに導入後は鹿児島県内各地でデモ講座を開催、あちこちの福祉フェスタにブースを出し実績を積んだ結果、やっと自治体からも認められ鹿児島県内3つの市町村から介護予防教室の受託に至っています。

また県より依頼を受け健康作り運動指導者協議会in鹿児島アリーナにて「脳若トレーニング」を実施した際、参加したのは同じく介護予防事業に取り組んでおられる健康運動指導士約30名でした。活動の中で運動だけでは楽しみの持続性が難しいという話や、脳のトレーニングの必要性も感じているという声が聞かれたといいます。業界の中で「脳若」が少しずつ知られ、知名度が上がってきたと実感しています。

社会福祉法人「寿康会」による脳若トレーニング

社会福祉法人「寿康会」による脳若トレーニング【健康運動指導士30名が参加】

鹿児島銀行のWELLセミナーは満員御礼。いまや介護施設は地域活動をアピールし外へ出る時代。

脳若ライセンス先様で真っ先に銀行での実績を作られた寿康会。かぎんWELLセミナーで「脳若」が初登場しています。銀行主催では「お金」に関するセミナーの類が多い中、定員20名すぐに埋まったといいます。自治体講座と同じように、やはりここでも男性の参加者が大変多く、いつもとは違う切り口でのセミナーを楽しまれました。顧客(年金受給者)満足度は確かに上がったでしょう。

鹿児島銀行のWELLセミナー

鹿児島銀行のWELLセミナー

また、地元旧吉田町の敬老会のイベントではお孫さんたちとの交流もあり大いにに盛り上がりました。初めて触れるiPad。お孫さんと笑顔でコミュニケーションを取っている姿に、微笑ましい気持ちと、機会を作ってあげれた事が嬉しかったと担当者の喜びの声も聞かれました。

地元旧吉田町の敬老会のイベント

地元旧吉田町の敬老会のイベント

「脳若」は今後の経営戦略に基づいた先行投資であり、内部留保の財政再投下における資源配分。

賢い支出をすべき! と山下さんは熱く語られます。支出を行う際は将来的に利益、利便性を生み出すことが見込まれる事業に対して選択的に行うことが望ましいとされていますが、まさに脳若トレーニングとの出会いは将来的にというよりも現在の認知症高齢者の数から見ても必要不可欠な事業として導入を判断したと力説。以下に続きます。

「ipad購入をはじめとする固定資産等の購入で事業費経費が増えましたが賢い支出と考えています。公益的な社会貢献事業を率先して行うにはマンパワーが必要なのはもちろんのことですが、ガソリン代などの移動費や印刷物等の広報費、建物の維持費などある程度の経費がかかります。しかし私は脳若トレーニングをはじめとする地域ニーズに合った費用の計上は法人のファン作りのための先行投資ととらえ、まさに入口の事業であり、出口は介護保険で。という視点も持っています。」山下さんのお話にはいつも圧倒されます。さすが、ですね。(若くて美人なのに・・・は関係ないか。)

「介護予防」「社会参加」「生活支援」の融合を常に考え、ビジネスモデルを構築。

国が打ち出した「総合事業」。これからは地域生活の中で活動性を継続的に高める取組に大きく舵が切られ、住民主体の自発的な健康づくりを側面的に支援するアプローチへと平成29年度までに大きく転換していきます。

生き残りをかけてどう行動するか?世の中の動きと国の施策を見据えての経営判断が問われる時代となってきましたね。もちろん「脳若」だけが正解ではない。常に考え続けることが大事だとライセンス先様から教えられる日々なのです。