2026/1/08 光岡眞里の「あゆみ」メールマガジン【AI以上に深刻な就活生の「仕事観」】

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光岡眞里の「あゆみ」メールマガジン今日も元気にパワフルに!
作者:光岡眞里 2026年1月08日号 VOL.774
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「不適切にもほどがある!」というドラマを見た。「ふてほど」といって評判らしい。

今日は現代の若者の話。

 2027年卒の就活生の42%がAIに奪われない職を意識して志望業界を変更したという調査結果がでている。またAIの話?いやそうではない。
深刻なのはAIそのものではなく、水面下で進む学生たちの仕事観の変質だと思う。「成長したい」「挑戦したい」という熱意が冷めている現象こそが、本質的なリスクなのではないだろうか?

 確かに昭和世代はイケイケドンドンだと笑われ、いろいろと「不適切」だったかもだけど、今、「仕事観の低体温化」は進んでいると感じる。
現在の就活は大学2年生の冬から4年生の春まで、2年以上かけて行われることも珍しくない。学生は複数のインターンに参加し、8人に1人が5社以上から内定を得る。選択肢が増えた一方で、「どこに決めるか」のトリガーが見つからず、悩みは深まるばかりだ。
企業側も炎上を恐れ、きれいごとしか発信しなくなる。そこで学生たちはSNSや口コミで「B面的リアリティ」を探す。だが、まだ社会人経験のない彼らが真偽不明の情報に振り回されれば、判断はさらに揺らぐというものだろう。
もっと深刻なのは、仕事観そのものの変化だ。2019年と2025年の調査を比較すると、「仕事を通じて成長したい」という意識が明確に減少している。働き方の自由度や給料は重視する一方で、成長意欲は低下。企業の採用担当者も「デジタルツールは使いこなすが、仕事への積極性では期待を下回る」と実感しているというのだ。
 背景にあるのは、一人で完結する時間の過ごし方。一人カラオケ、一人焼肉、ネットサーフィン、オンラインゲーム——の浸透だ。リアルな交流機会が減り、集団でリーダーシップを学ぶ経験も減った。加えて、大人たちの「好きなことをやればいい(多様性!)」というアドバイスが、学生を過度な自己保全に走らせている。
だが、「自分らしく働ける会社」という思い込みは危険だ。これは行動経済学でいう「焦点化幻想」——注目する要因の影響力を過大評価する傾向——そのものである。
例えば「私は朝が弱いタイプだから、フレックス制度がある会社でないとぜったい無理!」と考えて就職したとする。ところが実際に働き始めると、朝の通勤時間より「お客様に感謝された喜び」「難しいプロジェクトをやり遂げた達成感」の方がずっと大切だったと気づく。これは良かったねという事例になったけど、就活時に重視していた条件が、働く上でそれほど重要ではなかったなんてことは多々あるものだ。

では何が大切なのか?

ソーシャルキャピタル——人とのつながりが生み出す社会的資源——を正しく増やすことだ。SNSの上っ面の関係ではなく、リアルに助け合い、刺激を受け合える仲間を作る。そうした「経験」が、自分の価値観をアップデートし続ける力になる。
AI時代に必要なのは、AIに負けないスキルではない。変化を恐れず、自分をアップデートし続ける柔軟性だと思う。

おわり。

※TBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」
男手一つで娘を育てる父親が、1986年から2024年に突然タイムスリップ。昭和のダメおやじの”不適切”発言が令和の停滞した空気をかき回す、意識低い系コメディ。(ネットフリックス紹介文)
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