2026/1/15 光岡眞里の「あゆみ」メールマガジン【二つの老い】

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光岡眞里の「あゆみ」メールマガジン今日も元気にパワフルに!
作者:光岡眞里 2026年01月14日号 VOL.775
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福岡市内の、「高宮」というコジャレた地域、駅から徒歩圏内にすんで10年以上が経つ。とはいえ築35年、かなり古びたマンションのリノベ済の一室に気ままに住んでいる。
最近、改修工事が行われていたが、建物全体を見渡せば、やはり随所に「時を重ねた」跡が隠せない。

私の住むこの小さなマンションで見かけるのは、おおよそ二通りの層だ。
ベビーカーを押す若い家族連れと、高齢のおそらく二人暮らし。
若いファミリーは入れ替りが多いが、高齢組は私を含め、長い。
建物が古くなっていくのと歩調を合わせるように、住人もまた年を重ねていく。いわゆるマンションの「二つの老い」という現実が、ここには確かにある。

2026年4月、マンションに関する法改正が施行される。
背景にあるのは、深刻な老朽化と、合意形成の難しさだ。全国で築40年を超えるマンションは増え続け、修繕積立金の不足や、所在不明の所有者の増加によって、直したくても直せない、建て替えたくても決まらないという状況、「デッドロック」が増えているという。
今回の改正では、所在不明者を決議の母数から除外できたり、出席者の多数決で決議できる範囲が広がったりと、ようやく「動けないリスク」にメスが入る。

建物は、放っておけばただ古びていく。
だが、人間はどうだろうか。
建物は回収すれば物理的に新しくなるが、人間の体や心は、そう簡単に部品を替えるわけにはいかない。
老化という自然の摂理に、ただ身を任せるのではなく、いかに「生き生き」とした自分でいられるか。
心理学を学ぶ今の私にとって、それは「あらがう」というよりも、自分自身の「維持管理」を楽しみながら、新しい価値をリノベーションしていく作業に近い。
建物が古くなるのは止められないが、その中で住まう人間が「生きがい」という灯を絶やさなければ、その場所は決して色褪せないと信じたい。

「二つの老い」という構造的な課題に直面するからこそ、私たちは、あらがうことの美しさと、豊かに老いていく知恵を共有していく必要があるのではないだろうか。
そんなことを考えながら、今日もエレベーターは使わず階段を一段ずつ登っている。

おわり。
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